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文科省は先ごろ、宗教法人法に基づき世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への5回目となる質問権を行使した。回答期限は425日で、これにより政府が教団の解散命令を裁判所に請求するかどうかの判断は、来年度以降になる見通しだ。

 

新聞各紙は28日付け朝刊で、今回の質問権行使について「5回目の質問権了承 旧統一教会へきょう発送」(朝日新聞)、「質問権の行使 きょう5回目 旧統一教会へ」(毎日新聞)、「献金巡る示談など 203項目説明要請へ きょう5回目質問権」などの見出しで報じている。

            

第1回目の質問権行使は20221122日だったが、この1回目、続く2回目当時と比べると、各紙とも記事の扱いは明らかに小さくなっている。もちろん、家庭連合の説明や主張を取り上げずに、一方的な報道姿勢であることは変わりないし、その姿勢が信教の自由を危うくしていることに気付いていないのも相変わらずだ。しかし、社会の関心が薄まることにつれ、記事の扱いが小さくなっていることは間違いない。

 

それだけではない。今回の5回目の質問権行使について産経新聞は「質問権5回目 きょう行使 旧統一教会へ、宗教法人審了承」と伝えている。いわゆる3段見出しで、他紙と比べると比較的大きな扱いなのだが、注目すべきは、この記事に併用されたサイド記事だ。

 

記事は「解散命令請求の証拠 不十分 文化庁の調査長期化」との見出しで、「文化庁による世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する調査は長期化の様相を呈している」と伝えたものだ。

 

特に記事は、これまでの質問権の行使について「解散命令請求の要件とされる教団による違法行為の『組織性、悪質性、継続性』を強く主張できる証拠の積み上げは不十分な状況だ」と指摘。

 

そのうえで「法令違反を踏まえた裁判所による宗教法人の解散命令は過去2件。いずれも団体トップが深く関与した刑事事件が有力な証拠になった」と説明している。

この過去2件については、このブログに掲載した「度重なる質問権行使は国家権力の乱用」でも指摘している通り「オウム真理教」と「明覚寺」のケースだ。産経の記事は、これまで解散請求をしたのは、この地下鉄サリン事件を起こした「オウム真理教」、教団トップが詐欺罪で逮捕された「明覚寺」の2件しかないことを明示したわけだ。

 

さらに記事は「一方、旧統一教会を巡っては現状、組織的な刑事事件は浮上しておらず、教団の違法性を認定した複数の民事裁判などで解散命令の要件を立証するという前例のない手順を踏まざるを得ない」と述べている。

 

この記事を読めば、家庭連合への解散命令請求が〝無理筋〟であることが良く分かるのだが、注目したのは新聞メディアが、こうした現状に即した記事を書くようになったことだ。

 

家庭連合さえ叩けばいいという姿勢しかなかったメディアが、やっと冷静に物事を見始めたのかもしれない。

もちろん、一部弁護士や野党に煽られている朝日新聞や毎日新聞のようなメディアはあるのも事実だが、それでも今回の記事のように、新聞が現実的な思考ができるようになったのは大きな前進だ。